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香取先生のQ&Aコーナー

● かわら版の発行日が10月下旬だったため、解答は来月アップいたします

オルガン音つくりの第一歩 第14回

<問題>
前回取り上げましたフランソワ・クープラン(Francois Couperin 1668- 1733)「教区のミサ」Messea l'usage ordinaire des paroissesのキリエに続いて今回はグロリアの前半です。グレゴリオ聖歌とオルガンが交互に演奏する形で進められます。アトリオンのオルガンで考えてみて下さい。
*“imslp”による楽譜検索は「Francois Couperin→Collections→Pieces d’orgue→organ Scores→Messe pour les paroisses」



1 . Plein jeu
オルガンタイトル
1 Plein jeu
2 Petitte fugue sur le Chromhorne
3 Duo sur les Tierce
4 Dialogue sur les Trompettes, Clairon et Tiercees du
GC et le Borudon avec le Larigot du Positif
5 Trio a 2 dessus de chromhorne et la basse de Tierce


<解答>
・Plein jeu
G.O. Bd16, M8, P4, D2, Fourniture,,Cymbal
Pos. Bd8, P4, D2, Fourniture
Ped. Trompete8
Pos./G.O. G.O./Ped.

・Putite Fugue sur le Chromhorne
Pos. Cr8, Bd8. あるいはCr8, Bd8, P4

・Duo sur les Tierce
右手 Pos. Bd8, P4, (D2), Nazard, Tierce, (Larigot)
左手 G.O. Bd16, Bd8, P4, Quinte, Tierce

・Dialogue sur les Trompettes, Clairon et Tierces du G.C. et le Bourdon avec le Larigot du Positif.

Pos. Bd8, Larigot
G.O. Bd8, P4, Quinte, (D2), Tierce, Trompette8, Clairon

Pos.のレジストレーションはフランス音楽では珍しい組み合わせです。カプラーのかからないグラン・ジュの伴奏として用いられていました。

・Trio a 2 dessus de Chromhorne et la basse de Tierce
右手 Pos.Cr8, (Bd8), (F4あるいはP4)
左手 (Bd16), Bd8, P4,(D2)Quinte, Tierce

オルガン音つくりの第一歩 第13回

<問題>
2018年、今年はフランソワ・クープラン生誕350年です。そこで彼の「教区のミサ」を順番にみていきたいと思います。ミサの通常式文をグレゴリオ聖歌とオルガンが交互奏する形で進められます。今回はキリエ

  1. 1.まずは、オルガンでKyrie eleisonにあたる”Plein chant du premier Kyrie, en Taille.”
    次にグレゴリオ聖歌で”Kyrie eleison”
  2. 2.オルガンでKyrie eleisonにあたる“Fugue sur les jeux d’anches.”
    グレゴリオ聖歌で”Christe eleison”
  3. 3.オルガンでChriste eleisonにあたる“Recit de Chromhorne.”
    グレゴリオ聖歌で”Christe eleison”
  4. 4.オルガンでKyrie eleisonにあたる“Dialogue sur la Trompette et le Chromhorne”
    グレゴリオ聖歌で”Kyrie eleison”
  5. 5.オルガンでKyrie eleisonにあたる“Plein chant”

フランス古典は基本的にタイトルがレジストレーションを示しています。また、中央集権国家だったため、オルガンのスタイルもほぼ統一されています。 レジストレーションに関する記述も多く残されていますので、時代により若干異なりますが、それらを参考に現代のオルガンで考えることになります。 オルガンはアトリオンの楽器で考えてください。アトリオンの楽器も基本はフランス古典期の楽器ですので、比較的レジストレーションは容易で、かつ非常に美しく響きます。

フランス古典のレジストレーションに関してはフランス語のwikiにも掲載されていますが、 第12回のギランのマニフィカトなども参照してください。
https://fr.wikipedia.org/wiki/Registration#La_registration_dans_l'orgue_classique_francais

<解答>
1. Plein chant du premier Kyrie, en Taille.(テノール声部による第一キリエ) テノール声部には、Pedalleの指示があります。フランス古典期の楽器にはペダルに16フィートはなく、トランペットの8‘を用います。手鍵盤はG.O.のBourdon16から始まるプリンシパルコーラスとPos.のBd8から始まるプリンシパルコーラスを結合します。そして、ペダルに第一鍵盤の音を重ねます。(当時の楽器はG.O./Ped.のカプラーのみ持っていました。)

2. Fugue sur les jeux d’anches.(リード管によるフーガ) これはFugue grave と呼ばれる重厚なフーガで、G.O.のトランペット8を中心に、Bd8, Prestant4を重ね、そこにNazardやTierceを加えることも可能でシャピュイ氏はそれを推奨しています。また、Pos.Cromorneをカプラーで重ねることも可能です。

3. Recit de Chromhorne.(クルムホルンによるレシ) ソプラノ声部にPos.のクルムホルンを持ってきますが、これにBd.8やFl.4を加えることもできます。伴奏部はJeu douxの表記がありますので、G.O.のBd.8 Fl4(あるいはP4)

4. Dialogue sur la Trompette et le Chromhorne(トランペットとクルムホルンの対話) この曲のレジストレーションについては、クープランの同時代者の序文の中に見当たりません。グラン・ジュの1つのヴァリエーションと考え、Pos. Bd8,P4,Cromorne G.O. Bd8,P4 TrompetteにカプラーPos./G.O.を用います。

5. Plein chant(プランシャン) これもプラン・ジュつまり最初のプリンシパル・コーラスと同じで、ペダルはトランペット8にカプラー。あるいは手鍵盤でバス声部も同時に弾きます。

オルガン音つくりの第一歩 第12回

<問題>

今回はちょっと目先を変えて、フランス古典のレジストレーションを考えてみましょう。


Jean-Adame Guilainの第2旋法による組曲です。オルガンとグレゴリオ聖歌の交互奏のために書かれたものです。ギラン、クレランボー、ドゥ・マージュなどフランス古典で「組曲」とタイトルを持つ作品は、マニフィカト(聖母マリアの祈り)と考えられます。マニフィカトは聖務日課の晩課/Vesperaeに用いられます。
Prelude (Plein jeu)―Tierce en taille―Duo―Basse de trompette―Trio de Flutes―Dialogue―Petit plein jeuの全7曲から成ります。


フランス古典はタイトルがレジストレーションを表しています。ですから原則を知っていれば比較的容易かもしれません。ただし、フランス古典の音を上手く再現できるオルガンはそう多くはありませんので、フランス古典期の楽器の響きを知ることも重要になってきます。オルガンはアトリオン音楽ホールの楽器から考えてみてください。フランス古典が非常に美しく鳴る楽器のひとつです。
http://imslp.org/wiki/Pi%C3%A8ces_d'Orgue_pour_le_Magnificat_(Guilain%2C_Jean-Adam)


<解答>

・Prelude (Plein jeu) 

    プラン・ジュはプリンシパル・コーラスと考えればよいので、
    G.O. Bd16 M8 P4 D2 Fourniture Cymbale
    Pos. Bd8 P4 D2 Fourniture
    U/T


・Tierce en taille

    テノール声部にTierceすなわちコルネの成分。伴奏部分(右手)はfonds。

    伴奏にプリンシパルの音を入れますが、アトリオンのオルガンでは強すぎるので、
    G.O. Bd16 Bd8 (Fl4)。
    また、当時の楽器はペダルに16‘を備えていないため、G.O.と足鍵盤のカプラーを用いると、声部の逆転を回避できると考えられています。(当時の楽器にはG.O.とのカプラーのみありました)ただ、現代の楽器ではペダルに16’があるので、
    Ped. M16のみ、あるいはSb16 F8

    Tierceはポジティフを使います。
    Pos. Bd8 P4 Nazard D2 Tierce (Larigot)


・Duo 

    これには左手にリード管を用いる場合と16’から始まるGrosseTierceを用いる場合があります。

    左手 G.O. Bd16 F8 P4 Quinte D2 Tierce あるいは F4 Voix-Humaine
    右手 Pos. Bd8 P4 Nazard D2 Tierce これを基本に、もしVoix-Humaineでバランスが取れない場合は、D2を抜くなど調整します。


・Basse de trompette

    G.O. Bd8 P4 Trompette
    Pos. Bd8 P4


・Trio de Flutes

    G.O. Bd8
    Pos. Bd8 U/T


・Dialogue 

    これはグラン・ジュと呼ばれる音の組み合わせを用います。
    G.O. Bd8 P4 Cornet Trompette Clairon
    Pos. Bd8 P4 Cromorne (Nazard Tierce) U/T


この曲の場合、4つの鍵盤を使用するとみなすことができます。本来は第3鍵盤、第4鍵盤とも上声部のみパイプの置かれたCornetを用います。ただ、アトリオンでは第3鍵盤にコルネ成分はないので、Hautboisなどを用いて代用することも不可能ではありません。が、45小節からエコーとして使われるので、エコーの部分でPos.からCromorneを抜くという可能性もあります。


ペダルは最後の2小節の全音符の低音にBombardeを用いて鍵盤と重ねると重厚になります。


・Petit plein jeu

    たった11小節の小さな曲ですが、これはAmen あるいはIte Missa Estにあたります。
    Pos. Bd8 P4 D2 Fourniture


オルガン音つくりの第一歩 第11回

<問題>

前回はシンプルなフランクの作品を取り上げました。今回は彼の作品をもう少し深めてみたいと思います。有名な「前奏曲、フーガとヴァリエーション」を見てみましょう。楽譜は
http://imslp.org/wiki/Pr%C3%A9lude%2C_Fugue_et_Variation%2C_Op.18_(Franck%2C_C%C3%A9sar) からダウンロードできます。 この曲もフランクの指示が書かれています。そこに注意しながらアトリオンの楽器をイメージして考えてください。

<解答>

曲の冒頭の指示がレジストレーションを表しています。

前奏曲:

    R. Flute8’ Basson-Hautbois8’ 右手の旋律
    G.O. Bourdon8’ 左手の伴奏部
    Ped. Soubasse16’ Flute8’
    これを基本にするとよいでしょう。

    フランクの楽譜では左手が32小節から43小節までP.に移ることになっていますが、この指示はそれほど気にする必要はないと思います。また、39小節から42小節までペダルに4‘か8’を足すと指示されています。ここは、アトリオンでしたらP.Bourdon8’をPos./Pedのカプラーをかけるとバランスがよいです。ペダルの4’はプリンシパルなので大きくなりすぎます。

Lento:

    R. Flute8’ Gambe8’ Prestant4’ Flute 4’ Hautbois8’ Trompette8’
    P. Salicional8’ Bourdon8’ Prestant4’ Flute 4’
    G.O. Bourdon16’ Montre8’ Bourdon8’ Prestant4’
    Ped. Montre16’ Soubasse16’ Montre8’ Flute8’
    R./P. P./G.O. P./Ped. G.O./Ped.
    ※R./P. P./G.O.をかけると手鍵盤ではR./G.O.が入ります。また足鍵盤ではR./Pedが入ります。

フーガ:

    R. Flute8’ Gambe8’ Hautbois8’
    P. Salicional8’ Bourdon8’
    G.O. Montre8’ Bourdon8’
    Ped. Montre16’ Soubasse16’ Montre8’ Flute8’
    R./P. P./G.O. P./Ped. G.O./Ped.

    136小節目にR.の16’とリード管を入れると指示があります。
    ここで、G.O.Bourdon16’ R. Trompette8’ Prestant4’くらいを加えるとよいでしょう。リード管の4‘がレガールのようなものでなければそれを加えてもよいです。

ヴァリエーション:

    R. Flute8’ Basson-Hautbois8’ 右手の旋律
    G.O. Bourdon8’ 左手の伴奏部
    Ped. Soubasse16’ Flute8’
    冒頭のプレリュードと同じレジストレーションです。177小節から180小節までペダルにP.Bourdon8’をPos./Pedを足す。

オルガン音つくりの第一歩 第10回

<問題>

今回は、フランクのパストラールを通してカヴァイエ・コルの目指したロマン派のサウンドをどう作るのかを考えていきましょう。アトリオン音楽ホールのオルガンをイメージしてください。 楽譜はimslp から Category:Franck, Cesar 、Pastorale op.19で探せます。

<解答>

曲の冒頭に R. Hautbois, Flute de 4, Bourdon de 8 、P. Bourdon de 8 et de 16 、Ped. Bourdon de 8 et de 16 、Accouplement du R. au P. という指示があります。これはカヴァイエ・コルの楽器を用いたレジストレーションの指示です。オーケストラ・サウンドを目指した楽器ですから、バロック期のものとはかなり異なります。

R. はRecit鍵盤 P.はPositf鍵盤です。ちなみにG.O.はGrand Orgue 主鍵盤です。

アトリオンの楽器ではG.O.とP.はアルザスのジルバーマンの楽器が基本となっています。ですからこれはほぼフランス古典の仕様です。ただ、ホールの楽器としてはあらゆる時代の楽曲に対応できる必要があり、R.はちょっとだけ!ロマン派に対応できるようになっています。

アトリオンにはR.にBourdonがありませんので、Flute a cheminee 8で代用します。また、P. には16フィートがありませんので、G.O.のBourdon 16とBourdon 8を用いることで対応します。Ped.はSoubasse 16 とFlute 8です。

Accouplement du R. au P.はカプラーです。アトリオンではR.とG.O.のカプラーになります。

Quasi allegrettoでは、新たな指示があります。Ajouez la Tromp. du R.、Tirasse du P.です。Ajoutezは加える、つまりR.のトランペット8‘を加えるということです。Tirasse du P.はペダル・カプラーをかけるという意味です。実は、フランスの楽器では R.とP.の手鍵盤カプラーがかかっている時にTirasse du P.を入れると、R.のペダルカプラーも連動するように設計されています。

さて、今考えてきたアトリオンのレジストレーションではR.とG.O.を使っていますので、この場合、R.鍵盤とG.O.鍵盤の2つのペダルカプラーを入れることになります。


Andantinoの手前5小節から、Otezという単語が現れます。これは取るという意味です。Quasi allegrettoで加えたトランペット、ペダルカプラーを順次取って、冒頭と同じレジストレーションに戻します。


このように書かれた指示からどういうレジストレーションができるのかを考えていく作業が、フランスのロマン派以降の作品では必要になります。

オルガン音つくりの第一歩 第9回

<問題>
D. ブクステフーデ(D.Buxtehude 1637−1707)
  「暁の星のいと美しきかなWie schon leuchtet der Morgenstern」BuxWV223
コラール・ファンタジアの早期の例。ブクステフーデのコラール編曲の中でも良く演奏される作品です。
足鍵盤は最後にほんの少し加わるだけです。
楽譜は、Imslp⇒D.Buxtehude ⇒Collections ⇒Samtliche Orgelwerke VolumV⇒Organ ChoralesU: Fantasiasから探せます。
以下のような楽器から考えてみてください。

第1鍵盤(HW)

第2鍵盤(Pos)

ペダル(Pd)

1.Prinzipal 8

1.Gedackt 8

1.Subbas 16

2.Rohlflote 8

2.Gemshorn 4

2.Prinzipal 8

3.Oktave 4

3.Waldflote 2

3.Gedacktbass 84

4.Oktave 2

4.Larigot 11/3

4.Choralbass 4

5.Mixtur V−W

5.Sesquialtera U

5.Trompete 8

6.Vox Humana8

6.Krummhorn 8

U/T,T/P,U/P


<解答>
回答例
色々な可能性がありますが、シンプルな一例です。
T.01    Hw 6 Pos 4
T.30    Hw 1
T.58    Pos 1,2,3,(4)
T.74    Pos 1,2
T.77    Hw 2,3
T.131   Hw 2
T.136   Hw1,3
T.156   Hw 1,3,4
T.169-176   Echo Pos 1.2 Hw1,3
T.177   Hw 1,3,4 Pd 1,2

オルガン音つくりの第一歩 第8回

<問題>
“今回はちょっと目先を変えて、ロマン派の小品にトライしてみましょう。ラインベルガー(Josef Gabriel Rheinberger 1839- 1901)はミュンヘンで活躍したオルガニスト、教育者です。彼は20曲に及ぶオルガン・ソナタを残しました。その第11番の緩徐楽章によく演奏されるカンティレーヌがあります。今回はこのシンプルな曲をレジストレーションしてみましょう。楽器は以下のようなものです。”

第1鍵盤

第2鍵盤

ペダル

Prinzipal 8

Gedackt 8

Subbass 16

Röhlflöte 8

Gemshorn 4

Gedacktbass 8

Oktave 4

Waldflote 2

 Choralbass 4

Oktave 2

Cymbale U

Trompete 8

MixtureV‐W

Sesquialter 2fach

Dulcian 8

U/T,T/P,U/P

 

 


<解答>
旋律をどういう音色で弾くかということがポイントです。
例えばPrinzipal 8’、Oboe 8’ 、ちょっと高くなるかもしれませんがGedackt 8’ +Gemshorn 4’+Nasat22/3 などを試してみましょう。
また、ずっと同じ音色ではなく転調したときに音色を変えるということも考えられます。
第1鍵盤を旋律にしたら、第2鍵盤はGedackt 8が伴奏でしょう。ただし小さすぎれば4フィートを加えシャッターを閉じるなどの方法もあります。
第2鍵盤を旋律にしたら、伴奏はRöhlflöte 8’を用います。
ペダルはSubbass 16 +Gedacktbass 8
いずれにしても、バランスのよい音楽的な音を見つけていく作業が必要です。

オルガン音つくりの第一歩 第7回

<問題>
J. P. スウェーリンク(1562–1621)は、オランダ、アムステルダム旧教会で活躍した作曲家、オルガニストです。北ドイツ・オルガン楽派の育ての親で、シャイデマン、シャイト等北ドイツ・オルガン楽派の重要な作曲家たちを輩出しました。今回は、スェーリンクの作品から「わが青春は過ぎにけり 'Mein junges Leben hat ein End', SwWV 32」を取り上げます。変奏曲の形式です。
オルガンは いつもとちょっと異なります。

 

第1鍵盤

第2鍵盤

ペダル

Prinzipal 8

Gedackt 8

Subbass 16

Röhlflöte 8

Gemshorn 4

Gedacktbass 8

Oktave 4

Waldflote 2

Choralbass 4

Oktave 2

Quinteflöte 11/3

Trompete 8

MixtureV‐W

Sesquialter 2fach

 

 

Regal 8

U/T,T/P,U/P

楽譜は、imslp, Category:Sweelinck, Jan PieterszoonCompositions by: Sweelinck, Jan Pieterszoon のVの項にあります。


<解答>
J. P. スウェーリンク(1562–1621)の変奏曲「わが青春は過ぎにけり 'Mein junges Leben hat ein End', SwWV 32」は、各変奏ごとにレジストレーションを変えます。

Variatio は、Regalから試してみましょう。Regalはどの声部も同じ強さで聞こえます。
Secunda variatioは、第2鍵盤 Gedackt 8+Gemshorn 4
Tertia variatioは、第2鍵盤 Gedackt 8+Gemshorn 4+Waldflöte 2
Quarta variatioは、第1鍵盤 Röhlflöte 8+Oktave 4
Quinta variatioは、第2鍵盤 Gedackt 8+Gemshorn 4+Waldflöte 2+Quinteflöte 11/3
Sexta variatioは、Regal あるいは第1鍵盤のRöhlflöte 8 116小節目からは第2鍵盤のGedackt 8で更に小さくすることも可能です。

これは一例ですが、太いプリンシパルやトランペットのような大きなリード管、大きなミクスチュアを用いることは避けます。

オルガン音つくりの第一歩 第6回

<問題>
パッサカリアは、オスティナート・バスに基づく変奏曲です。
J.S. バッハのパッサカリアとフーガ
ハ短調は、レスピーギがオーケストラ編曲するなど名曲として知られています。また、オルガン講座でもパッヘルベルのチャコーナ(これもパッサカリアと同じようなオスティナート・バスに基づく曲です。)を弾かれた方も多いと思います。
今回はブクステフーデのパッサカリアニ短調 D. Buxtehude Passacaglia, BuxWV161を取り上げてみましょう。
この曲はニ短調‐ヘ長調‐イ短調‐二短調と4つの部分から成り立っています。これを踏まえた上でレジストレーションを考えてみてください。
楽譜はIMSLP http://imslp.org/ カテゴリ 作曲家B Buxtehude, Dietrich
検索P Passacaglia, BuxWV161 から探すことができます。
オルガンはいつもの規模です。

 

<解答>
1例として、
T.01 第1鍵盤 Prinzipal 8  ペダル Subbass 16  Gedacktbass 8
32 第1鍵盤 +Oktave 4  ペダル +Choralbass 4
    47 第2鍵盤 Gedackt 8  Gemshorn 4  Waltflöte 2
 Quinteflöte 11/3  (右手ソプラノ用)
64 第1鍵盤 +Octave 2  ペダル Subbass 16  Trompete 8
    93 第2鍵盤 −Quinteflöte 11/3
95 第1鍵盤 Prinzipal 8  ペダル Subbass 16  Gedacktbass 8

95小節目からニ短調に戻るので最初と同じレジストレーションにしてみました。64小節目から第1鍵盤の2フィートまで入れましたが、それを95小節目まで待ち最後にプリンシパルの8,4,2フィートでも良いと思います。
いずれにしても、転調したときの音のバランスに注意してください。

オルガン音つくりの第一歩 第5回

<問題>
8月2日の公開講座で使われたD.Buxtehudeの「神はわが砦 BuxWV184 Ein feste Burg ist unser Gott」を取り上げます。オルガン用の楽譜はネットから見ることはできませんが、ギター用に編曲された楽譜から形を知ることができます。ソプラノ声部に装飾されたコラール旋律をおくコラール前奏曲です。
このコラールは、宗教改革者、マルティン・ルター(1483−1546)の作詩(1527-1529)/作曲になる、反福音主義勢力との戦いに臨んで神への熱烈な信頼をうたうものです。
訳詞(Wikiより)を記しておきます。
私たちの神はかたいとりで よい守りの武器です。神は私たちを苦しみ、悲惨から助け出してくださいます。古い悪い敵はいま必死にあがいており、その大きな勢力と策略を用いて 攻撃してくるので 地上の存在でこれに勝てる者はおりません。
オルガンは以下の仕様で考えてみましょう。


第1鍵盤

第2鍵盤

ペダル

Prinzipal 8

Gedackt 8

Subbass 16

Röhlflöte 8

Gemshorn 4

Gedacktbass 8

Oktave 4

Waldflote 2

 Choralbass 4

Oktave 2

Cymbale U

Trompete 8

MixtureV‐W

Sesquialter 2fach

Dulcian 8

U/T,T/P,U/P

<解答>
◆ソプラノに装飾されたコラール旋律を持つ曲と言えば、バッハの名曲『おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け』や、オルガンの初歩の方でも弾きやすい『最愛のイエスよ、われらここに集いて』などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
これらの作品は決して力強いレジストレーションで弾くことはありません。けれど、『神はわが砦(やぐら)』は、マルティン・ルターの決然とした意思を示すもので、非常に力強いレジストレーションが必要となります。
ソプラノは、第2鍵盤のGemshorn4,CymbaleU,Sesquialtera 2f, Dulcian8とリード管に高く鋭いミクスチュアやSesquialteraを混ぜます。北ドイツオルガン楽派の作品ではよく使われるソロのレジストレーション法です。
伴奏部分は手鍵盤Prinzipal8、ペダルは16,8,4。
北ドイツオルガン楽派の作品では、手鍵盤が8’を基準とする場合はペダルも8’となるのが一般的です。もし、手鍵盤が16’を基準としたレジストレーションの場合はペダルも16’を基準とします。ただ、特別にスタイルを持たない現代の小さなオルガンでレジストレーションすること、またソロのボリュームがかなり大きいため、今回はペダルを16’から始めました。

オルガン音つくりの第一歩 第4回

問題はこちら
今回は、ちょっと上級者向けですが、バッハの17のライプツィヒ・コラール集から考えてみましょう。

まずは、比較的弾きやすい曲から、
◆「おお罪なき神の子羊よ O Lamm Gottes,unschuldig 」BWV656
3つのコラール詩節を通作した曲です。それぞれの詩節にどういうレジストレーションをしたらよいか考えてみましょう。

そして、いわゆる「トリオ」と呼ばれる曲
◆「主イエス・キリストよ、われらを顧みたまえ Herr Jesu Christ, dich zu uns wend」BWV655

今回は以下のようなディスポジションのオルガンで考えてみてください。


第1鍵盤

第2鍵盤

ペダル

Prinzipal 8

Gedackt 8

Subbass 16

Röhlflöte 8

Gemshorn 4

Gedacktbass 8

Oktave 4

Waldflote 2

 Choralbass 4

Oktave 2

Quinteflöte 11/3

Trompete 8

MixtureV‐W

Sesquialter 2fach

Cromorne 8

U/T,T/P,U/P

楽譜:http://imslp.org/wiki/Category:Bach,_Johann_Sebastian から@「参照」の項目Bach-Gesellschaft Ausgabe をクリックします。A「4.34 Band 25.2: Orgelwerke. Band 2」をクリックすると自動的にスクロールします。Bその中の「18 Chorale Preludes BWV651-668」をクリックし、下へスクロースして「楽譜ファイル」を探します。B「楽譜ファイル」2.1.1 Complete最初に掲載されているものは自筆譜(Manuscripts)なので、その次の「Complete Score」からダウンロードします。

解答はこちら

◆「おお罪なき神の子羊よ O Lamm Gottes,unschuldig 」BWV656

コラールの3節を通作した作品です。第1節はソプラノに定旋律が置かれ、3声の手鍵盤のみ、第2節も同じく3声で定旋律はアルトに置かれています。第3節は定旋律がペダルにおかれた4声部の構造となっています。第3節では下降する半音階の和声が「そうでなければ私たちの望みは絶えただろう Sonst müssten wir verzagen」という歌詞を表現しています。
第1部は、プリンシパルの8+(4)、第2部はそこに4(2)フィートを加え、第3部はミクスチュアを加えたプリンシパル・コーラス、ペダルは16、8,4、トランペット8を基本として考えれば良いと思います。あとは、プリンシパルの8+4が大きすぎれば、第2鍵盤の8+4と第1鍵盤プリンシパル8とカプラーをかけてみるなどの工夫をして調整していきます。

◆「主イエス・キリストよ、われらを顧みたまえ Herr Jesu Christ, dich zu uns wend」BWV655

これはいわゆる「トリオ」の形で書かれています。トリオのレジストレーションは、8+4+11/3 , 8+2のような中を抜いたレジストレーションが多用されたこともありました。これは、ゴットフリート・ジルバーマンのオルガンから考えられたレジストレーションの可能性があるということです。バッハの活躍したザクセン、チューリンゲン地方のヴェンダー・オルガンのように、弱い発音のViola da Gambaを持っているような楽器では、いくつかのプリンシパルではない8フィートと、左手もプリンシパルではない4フィートを組み合わせオクターブ下げて演奏することもできます。
例に示したような楽器から考えると、右手は第2鍵盤8+4+(2)、左手は4プリンシパルで1オクターブ下げ、ペダルは16+8で試してみることも可能でしょう。その他、右手は第2鍵盤8+4+11/3、左手はRohlflöte8+2なども考えられます。いずれにしても、バランスの良いレジストレーションを見つけることが大切です。ペダルは16フィートを必ず入れてください。

 

オルガン音つくりの第一歩 第3回

問題はこちら
今回もJ.Sバッハの作品から。皆さんも一度は弾いたことがありそうな有名な曲を取り上げてみました。どんな音がふさわしいか想像してみてください。
◆J.S.バッハ作曲 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV533
◆オルガン小曲集より「Nun komm der heiden heiland BWV599 いざ来たりませ、異邦人の救い主」
オルガンは前回と同じ日本基督教団西千葉教会のオルガンです。

 

解答はこちら
◆J.S.バッハ作曲 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV533
「前奏曲とフーガ」はプレヌム(簡単に言えばプリンシパルの8’, 4’ ,2?’ ,2’, Mix 、ペダルのプレヌムには16’ あればTranpete8’を加えたもの)を想像します。勿論、大聖堂ではプレヌムで堂々と演奏することも可能ですが、小さな会堂などでは、Mix.が強すぎると感じる場合もあります。そのような場合には、8’ 4’ 2’でも大丈夫。ペダルにリード管も用いずに演奏します。ただ、BWV533のような短い作品では可能でも、長く重厚な前奏曲とフーガでMixを抜くと、曲のイメージに対して音が軽すぎてしまいます。場所とオルガンの響きに留意して適切なプレヌムを用いることが重要です。
◆オルガン小曲集より「Nun komm der heiden heiland BWV599 いざ来たりませ、異邦人の救い主」
オルガン小曲集の最初の曲で、1ページという短いコラールです。クリスマスの4週間前から始まる待降節に使用されるコラールです。故吉田實先生は、キリストの誕生を静かに待つという意味で、プリンシパル8’一本でとおっしゃったことを覚えています。(ペダルはそれに合わせて16’,8’)
一方、それは「王」(マタイによる福音書第21章第1〜5節)であるキリストの誕生の意味を持ち、プレヌム(場合によっては手鍵盤にも16’)で堂々と演奏することもできます。バッハはカンタータ「Nun komm der heiden Heiland BWV61」第一曲で、このコラール合唱をフランス風序曲で縁取りました。フランス風序曲は王の入場に奏されるような性格を持っていますから、BWV599も、短いながら堂々とプレヌムで奏するのもよいかもしれません。

 

オルガン音つくりの第一歩 第2回

問題はこちら
今回もJ.Sバッハの曲からコラールを2曲。皆さんも知っている有名な曲を取り上げてみました。どんな音がふさわしいか想像してみてください。1曲目は「受難」のコラール、2曲目は「クリスマス」に用いられるコラールです。

◆「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622 オルガン小曲集より
◆「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV645 シュープラー・コラール集より

オルガンは前回と同じ日本基督教団西千葉教会のオルガンです。


第一鍵盤

第2鍵盤

ペダル

Prinzipal 8

Gedackt 8

Subbass 16

Rohlflote 8

Gemshorn 4

Gedacktbass 8

Oktave 4

Nasat 22/3

 

Oktave 2

Waldflote 2

U/T

MixtureV‐W

Terz 13/5

T/P

Trompete 8

Cromorne 8

U/P

楽譜:http://imslp.org/wiki/Category:Bach,_Johann_Sebastian から@「参照」の項目Bach-Gesellschaft Ausgabe をクリックします。A「4 Contents 4.34 Band25.2 Orgelwerke Band2 」をクリックすると自動的にスクロールします。Bその中の「Das Orgelbuchlein BWV599-644」をクリックし、下へスクロースして「楽譜ファイル」を探します。最初に掲載されているものは自筆譜(Manuscripts)なので、「Editions」があらわれるまでさらに下へスクロースします。C「編集者 Wilhelm Rust (1822から1892) 
出版社情報: Bach-Gesellschaft AusgabeBand 25  Leipzig: Breitkopf & Hartel, 1878. Plate B.W. XXV. 著作権: Public Domain 」が見えたら、さらに下へスクロースし「 O Mensch, bewein’dein’ Sunde gross, BWV 622」をダウンロードします。
「目覚めよ、と呼ばわる物見らの声」もAまでは同じ手順。「6 Choral Preludes,BWV645-650」をクリックし、目次を見て 2.楽譜ファイル「 2.1 .3 Wachet auf,ruft uns die Stimme,BWV645」をクリックしてダウンロードしてください。

 

今回はJ.S.バッハのコラールを2曲
◆オルガン小曲集から「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
バッハのコラールの中でも良く知られた受難のコラールで、マタイ受難曲第一部の最終曲としても使われています。装飾されたコラール旋律がソプラノにおかれ、コラール旋律と左手の伴奏部は別の鍵盤で演奏されます。

歌詞は
人よ、汝の大いなる罪を悲しめ。
そのゆえにこそキリストは父のふところを捨て
地にくだりたまいぬ。
清く優しきおとめより、
ここなるわれらのために生まれたまえり、
こは執り成しの仲保者とならんがためぞ。
死せる者には生命を与え、
すべての病を制したまえり。
かくして時は迫り来て、
彼はわれらの犠牲としてほふられ、
われらの罪の重き荷を
長き十字架の苦しみもて負わんとしたもう。(杉山 好 訳)

ソプラノのソロ部分は細かく装飾されていますので、発音の遅いリード管を用いることはできません。
第2鍵盤のフル−管 Gedackt 8, Gemshorn 4, Nasat 22/3でソプラノを、第1鍵盤のRohlf?te 8、ペダルはSubbass 16, Gedacktbass 8が一般的なレジストレーションといえます。その他、ソプラノ・ソロをプリンシパル8'で演奏することも可能です。
この曲の場合、21小節目の1拍目、2拍目は伴奏部とソプラノが一緒になって和声として動くため、伴奏と同じような音色を用いる方が適当ではないかと考えることもできます。その場合はプリンシパル8'でソロを演奏すると良いでしょう。ただし、左手がGedackt8だと弱くバランスが悪くなると思われます。また、8'、4'という組み合わせにすると、伴奏部がソプラノよりも高い音域に来るため好ましくありません。このように伴奏とのバランスもとても重要になります。

◆シュープラー・コラール集から「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV645
カンタータ第140番第4曲テノールのアリアをオルガン用にバッハが編曲したものです。

歌詞は
目覚めよ、とわれらに呼ばわる/ 物見らの声、いと高き望楼より日々けり、/ 目覚めよ、エルサレムの街よ!/ 時刻は いましも真夜中にかかる/ その呼ばわる声 さやかに告げていう、/ 汝ら畏き乙女は いずこなるか?/ いざ目覚めよ、花婿は来ます、/ 起き出でて燭火を取れ!/ アレルヤ! 身支度を整えよ、/ 婚礼の筵に出ずべく。/ 行きて花婿の君を出迎えまつれよ! (鳴海 史生 訳)
このコラールはマタイ伝第25章(1から13節)がもとになっています。

楽譜の頭には解答とバッハには珍しいレジストレーションの指示があります。しかし、単純に8'、8'、16'と3つのストップを出して演奏すると言う意味ではありません。ベースになるものと考えた方がよいでしょう。
コラール旋律のテノール8'はリード管かプリンシパル8'と考えることができます。NasatやTerzのような倍音管は低音部で分離してしまい使うことはできません。

では、歌詞の内容から華やかで堂々としたトランペット8'で弾いてみましょう。伴奏部は8'、4'、2' まで入れないとバランスが取れません。
第1鍵盤 Trompete 8 第2鍵盤 Gedackt 8, Gemshorn 4, Waltfl?te 2 ペダル Subbass 16, Gedacktbass 8

もう一つの可能性は
第1鍵盤 Prinzipal 8 第2鍵盤 Gedackt 8', Gemshorn 4'  ペダル Subbass 16, Gedacktbass 8

レジストレーションは実際の楽器との対話です。基本は基本。その都度楽器に向き合ってふさわしい音を探し出してください。

 

解答はこちら
◆オルガン小曲集から「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
バッハのコラールの中でも良く知られた受難のコラールで、マタイ受難曲第一部の最終曲としても使われています。装飾されたコラール旋律がソプラノにおかれ、コラール旋律と左手の伴奏部は別の鍵盤で演奏されます。

歌詞は
人よ、汝の大いなる罪を悲しめ。
そのゆえにこそキリストは父のふところを捨て
地にくだりたまいぬ。
清く優しきおとめより、
ここなるわれらのために生まれたまえり、
こは執り成しの仲保者とならんがためぞ。
死せる者には生命を与え、
すべての病を制したまえり。
かくして時は迫り来て、
彼はわれらの犠牲としてほふられ、
われらの罪の重き荷を
長き十字架の苦しみもて負わんとしたもう。(杉山 好 訳)

ソプラノのソロ部分は細かく装飾されていますので、発音の遅いリード管を用いることはできません。
第2鍵盤のフル−管 Gedackt 8, Gemshorn 4, Nasat 22/3でソプラノを、第1鍵盤のRohlföte 8、ペダルはSubbass 16, Gedacktbass 8が一般的なレジストレーションといえます。その他、ソプラノ・ソロをプリンシパル8’で演奏することも可能です。
この曲の場合、21小節目の1拍目、2拍目は伴奏部とソプラノが一緒になって和声として動くため、伴奏と同じような音色を用いる方が適当ではないかと考えることもできます。その場合はプリンシパル8’でソロを演奏すると良いでしょう。ただし、左手がGedackt8だと弱くバランスが悪くなると思われます。また、8’、4’という組み合わせにすると、伴奏部がソプラノよりも高い音域に来るため好ましくありません。このように伴奏とのバランスもとても重要になります。

◆シュープラー・コラール集から「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV645
カンタータ第140番第4曲テノールのアリアをオルガン用にバッハが編曲したものです。

歌詞は
目覚めよ、とわれらに呼ばわる/ 物見らの声、いと高き望楼より日々けり、/ 目覚めよ、エルサレムの街よ!/ 時刻は いましも真夜中にかかる/ その呼ばわる声 さやかに告げていう、/ 汝ら畏き乙女は いずこなるか?/ いざ目覚めよ、花婿は来ます、/ 起き出でて燭火を取れ!/ アレルヤ!  身支度を整えよ、/ 婚礼の筵に出ずべく。/ 行きて花婿の君を出迎えまつれよ! (鳴海 史生 訳)
このコラールはマタイ伝第25章(1から13節)がもとになっています。

楽譜の頭にはDextra 8 Fuß、Sinistra 8 Fuß、Pedal 16 Fußtとバッハには珍しいレジストレーションの指示があります。しかし、単純に8’、8’、16’と3つのストップを出して演奏すると言う意味ではありません。ベースになるものと考えた方がよいでしょう。
コラール旋律のテノール8’はリード管かプリンシパル8’と考えることができます。NasatやTerzのような倍音管は低音部で分離してしまい使うことはできません。

では、歌詞の内容から華やかで堂々としたトランペット8’で弾いてみましょう。伴奏部は8’、4’、2’ まで入れないとバランスが取れません。
第1鍵盤 Trompete 8 第2鍵盤 Gedackt 8, Gemshorn 4, Waltflöte 2 ペダル Subbass 16, Gedacktbass 8

もう一つの可能性は
第1鍵盤 Prinzipal 8 第2鍵盤 Gedackt 8’, Gemshorn 4’  ペダル Subbass 16, Gedacktbass 8

レジストレーションは実際の楽器との対話です。基本は基本。その都度楽器に向き合ってふさわしい音を探し出してください。

2月発行かわら版レジストレーションクイズ

問題はこちら
◆J.S. バッハ 小フーガ ト短調 BWV578
◆J.S. バッハ? オルガン小曲集から「われ汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」BWV639
を次のような楽器で演奏する場合、どんなレジストレーションができるでしょうか?


第一鍵盤

第2鍵盤

ペダル

Prinzipal 8

Gedackt 8

Subbass 16

Rohlflote 8

Gemshorn 4

Gedacktbass 8

Oktave 4

Nasat 22/3

 

Oktave 2

Waldflote 2

U/T

MixtureV‐W

Terz 13/5

T/P

Trompete 8

Cromorne 8

U/P

解答はこちら
◆小フーガト短調の演奏にはいくつかの可能性があります。
まずは、「プレリュードとフーガ」を演奏する際の「プレヌム」と呼ばれるプリンシパルコーラスを使う方法。これは華やかで壮大な小フーガとなります。この楽器でしたら第一鍵盤のPrizipal 8 ,Oktave 4 ,Oktave 2 ,Mixtureでプレヌムが作れます。それではこれに見合うペダルの音を考えてみましょう。Subbasse 16, Gedacktbass 8 だけでは少々心もとないかな?と思ったら、カプラーをかけて手鍵盤の音をペダルに降ろします。音が重ならないならば第一鍵盤T/Pがふさわしいと考えられますが、もし手鍵盤の音とペダルの音が多く重なる曲でしたら第二鍵盤Gedackt 8, Gemshorn 4, Waldflote 2を出してU/Pをかけてみましょう。このような小型の楽器ではペダルストップが少ないのでカプラーが活躍します。
また、プレヌムからMixtureを抜いたPronzipal 8, Oktave 4,Oktave2で弾くこともできます。これは小フーガでは標準的なレジストレーションだといえます。ペダルはSubbasse 16, Gedacktbass 8, に第二鍵盤 Gedackt 8, Gemshorn 4をカプラ−U/Pをかけてみましょう。もう少し軽い音がよければ第二鍵盤 Gedackt 8,Gemshorn 4,Waldflote 2も可能です。その場合はペダルはSubbasse 16, Gedacktbass 8だけ、あるいは第一鍵盤のOktave 4にカプラーT/Pをかけるなどが考えられます。

もうひとつの可能性として、フーガを4フィートピッチで弾くこともできます。フルート4がふさわしいのですが、この楽器ではGemshorn 4となります。Gemshornは倍音が多く含まれ比較的音が細いため、あまり良い響きを得られないかもしれません。その場合はOktave4でもトライしてみましょう。ご自分のイメージに合って演奏しにくくなければGemshorn 4 でもOktave4でも大丈夫です。ペダルは8フィートで演奏します。ここではGedacktbass 8を使えば大丈夫だと思います。

◆J.S. バッハ? オルガン小曲集から「われ汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」BWV639
この名曲はコラール旋律がソプラノにおかれ、ほとんど旋律に装飾がなされないタイプのものです。コラール旋律に装飾が少ない場合、リード管を使用することができます。
リード管を使用する場合、コラールのテクストの意味が重要になります。それによりTrompeteのような大きな音のリード、Krummhorn、Dulzian, Regalなどを用います。
BWV639のコラールではKrummhornを用いるのが標準的です。ここではフランス語のCromorne 8となります。もし、リードがなければプリンシパル8でも大丈夫です。
これに対して左手は、フルートの音がふさわしいでしょう。ここでは第一鍵盤のRohlflote 8を用います。ペダルは、Subbass 16, Gedacktbass 8でよいでしょう。

いかがでしたでしょうか?次回をお楽しみに!(香取智子先生)